病気のリスクを避ける地中海食とは?健康寿命を延ばすためにできること
健康寿命を延ばすにはまだ健康なうちにできることをすること。そのメインは「食生活の改善」。どの食べものがどうして必要なのか、どう食べるか、それを知って実践し、病気になるリスクを下げて健康に過ごしていけるようにしましょう。
今回は病気発症リスクを下げる理想の食事として「地中海食」を紹介します。和食風のアレンジも紹介するのでぜひ取り入れて健康的に過ごしましょう。
病気発症リスクを減らす理想形の食事は「地中海食」
健康的に過ごすためには、栄養をバランスよくとること。理想形の食事例として「地中海食」があります。地中海食とは地中海沿岸の国々の食事や食習慣のことで、体にいい栄養素が豊富に摂取できる食事法として知られています。ただ毎日すべてを取り入れるのは大変。時には好みで加工食品なども活用して、楽しみながら続けましょう。
地中海食のバランスを示したのが地中海食ピラミッド
地中海食では、穀類、野菜・果物類、乳製品、魚介類をバランスよくとります。肉類を控え、オリーブオイルや乳製品をほぼ毎日摂取することで、健康的な食生活になります。
地中海食を和食にアレンジ!
地中海食を和食にアレンジすれば、日本人が食べやすくなる上に和食の栄養効果もプラスされます。例えば筑前煮など和風の炒め物にオリーブオイルを使うなどです。ただ和食は塩分が多いので、塩の代わりに柑橘類や天然の出汁などをうまく使うのも手です。白米に玄米をブレンドするのも簡単なアレンジですよ。
また、糖質・たんぱく質・脂質はどれも大事な3大栄養素で、極端に減らすのは危険。特にたんぱく質は血や筋肉といった体づくりに重要な栄養素です。大豆に多く含まれる「植物性たんぱく質」をメインに、その他の食材から補っていくことをおすすめします。例えば、豆腐にオリーブオイルと塩をかけると、コクが出ておいしいですよ。魚の練り製品も手軽にたんぱく質をとれるので、おすすめです。
50代から現れやすい不調に効果的な食事法とは
特に50代から現れやすい不調や病気に効果的な栄養と食事法をQ&A方式でご紹介します。
骨粗しょう症予防にはどんな食べものがありますか?
カルシウムとビタミンDを多く含む食べものをとることが有効です。カルシウムの体への吸収を助けるのがビタミンDです。ビタミンDを多く含む食べものは、きくらげや干しシイタケなどのキノコ類、卵、鮭やさんま・うなぎなどの魚介類です。
お酒が好きで尿酸値が高め。どんなことに気をつけたら?
まずはお酒の量を減らすことが尿酸値を下げる近道です。その上で改善するにはビタミンCが比較的有効です。ビタミンCには尿酸を体外に排出するのを促す効果があります。ビタミンCは、果物ではアセロラやキウイフルーツ、野菜ではピーマンやブロッコリー、その他焼きのりなどにも多く含まれています。
尿管結石は食事で予防できますか?
カルシウムやクエン酸を含む食べもので予防できます。尿管結石の多くはカルシウムとシュウ酸やリン酸が結合してできる石ですが、カルシウムをたくさんとると、腸でシュウ酸と結合し、石が尿管を通らず腸のルートで排出されます。クエン酸はシュウ酸やリン酸の代わりにカルシウムと結合して石をできにくくする効果があります。柑橘類、酢や梅干しなどに含まれています。
「長生きできる食事」はありますか?
発酵食品に注目を。理由はその栄養価の高さにあります。例えば納豆では、脂質の代謝を助けるビタミンB₂、動脈硬化の予防になる葉酸などが発酵によって増加しています。さらに腸内の善玉菌のエサとなる食物繊維やオリゴ糖などを含む食品もとれば、腸内環境を整える最適の食事となります。
まとめ
いかがでしたか?日々の健康寿命を延ばすために、地中海食を取り入れてバランスのよい食事にしましょう。時には加工食品やサプリメントも活用して、ストレスなく豊富な栄養素の摂取を心掛けましょう。
森勇磨先生
神戸大学医学部卒。産業医として予防医学の実践を経験後、独立。書籍やYouTubeでの情報発信に留まらず、オンライン診療に完全対応した新時代のクリニック運営などで予防医学の普及を目指している。『50歳からの病気にならない最強の食生活』(主婦の友社)ほか著者多数。